小説モザイク姫モザイク姫番外小説!時は平安時代。 貴族社会のまっただ中のきらびやかな世界に生きる貴族に最もきらびやかな人物がおりました。 若くして、関白太政大臣になった藤原美明(ふじわらのよしあきら)様でございます。 藤原美明さまは、とても眉目秀麗、お声もお美しく、艶っぽく。男女問わず、そのお姿、そのお声を聞くだけで、うっとりと、幸せな気分になってしまうほどのお噂お方でした。 藤原美明さまこそ、モザイク姫のお父上なのでございます。 けれど、その美明さまは、盗賊怨霊の行き来する夜中… 右大臣の娘にして愛する北の方さまの馨子姫(よしこ)様の元に通られた不吉に輝く月の夜のこと盗賊に襲われたのでございます。 腕の立つ武士たちはバッタバッタと斬り殺され、その異変に気づいた美明さまは 「この私と知っての狼藉か!」 といつもお顔を隠している扇をせずに盗賊の前に姿をお見せになりました。 すると盗賊は一歩退き身体を震わしたのでございます。 そしてーーーー 「おのれぇええ!妖怪!ちぇすと~~~~~~~!」 盗賊はなんと美明さまを斬り捨てて、逃げ出して行きました… 美明様の最後でございました… 斬られた後にすぐに検非違使が美明さまの元に駆け付けました時はすでに遅かったのでございます… 斬られた美明様を検非違使別当殿は美明さまの御顔をみて言いました… 「お美しいとお噂のお方のお顔を…とてもむごい事をする……許せん!逃げた盗賊をなんとしても必ず捕まえるのだ!」 と命令をお出しになりました。 けれど、美明さまは実はお顔は斬られていなかったのですが…… とにかく、モザイク姫様の父上様はそのようにして亡くなられたのでございます… 「父上様は本当にお美しい方だったの?母上様…」 そのお話を聞いた姫様は馨子さまにそうお尋ねになられました。 私さよりも姫ぎみと同じ疑問をもっていました。 「そうですわ…姫のお顔そっくりにお美しく愛しいお方でしたわ…」 北の方様は姫の顔を愛おし気にお見つめになりながら優しく頭をなぜております。 +まだ続きます+ |